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内村航平選手の記者会見 〜心ない質問に対処する〜

   

内村航平選手 体操個人総合オリンピック2連覇!

体操個人総合で、
見事優勝した内村航平選手。

おそらく日本だけではなく、
世界のたくさんの人々を驚かせ、感動させたことだろう。

私自身、大きな感動をもらったし、
特に最後の鉄棒の演技には鳥肌が立った。
完璧な演技。
15.800という得点はむしろ低いのではないかと思ってしまうほど、
美しい演技であった。

まさにこの4年の集大成とも言える演技だったのではないだろうか。

オリンピックのインタビュー

私は子供の頃からスポーツに触れてきたし、
プレーするのも観るのも大好き。

なので、オリンピックはいつも楽しみに観ている。

同時に、職業柄注目するのは、選手へのインタビュー。
どういう観点や切り口から、どのような質問を投げるのか。

とても興味深く観ている。

今回、記者会見では、こんな趣旨の質問が内村航平選手に投げられた。

質問内容と各選手の答え

記者(通訳)の質問

審判の方々…、この採点される方々から、
かなり好意的に見られていて、
同情されているっていうようなことがあっていい点が取れている。
っていうようなことはありませんか?

内村航平の答え

それって僕が気に入られているから良い点をもらえているってことですよね?
……
いや、全くそんなことは思っていないです。
やっぱりみんな、みなさん
どんな選手でも公平にジャッジしてもらっていると思うし、
審判も同じ人間ですけど、やっぱりそこは、
やっぱり…、そういう感情は入れてないんじゃないかなって、
僕は思います。

オレグ・ベルニャエフの答え

選手を好んでくれるとかそういった質問は…%&#+(聴き取り不能)。
もちろん個人的なフィーリングっていうのはみんな持っているわけです。
でもこの点数、スコアを付けるということに関してはこれらのスコアは
本当にフェアで神聖なものだということは我々みんな知っているわけです。
で、とにかく航平さんは、彼のキャリアの中でいっつも高い点数を取ってきているわけです。
ですから、たいへん今の質問というのは無駄な質問だったと思いますよ。出した方。

マックス・ウィットロックの答え

彼のスコア…、驚くべきものです。
で、一番最後の鉄棒、もう本当に言葉がありませんでした。
とにかくこれだけの冷静さを維持して、
最後のジャンプまで着地までパシッと決めたということ、
大変なことだと思います。

正しい理解に貢献した「無駄な質問」

個人的には、記者がどこの国の人で、
原文(通訳ではなく)ではどのように質問していたのかは非常に気になるところだが、
今のところ発見できず。

というのも、通訳を介すと、どうしても言葉のニュアンスが変わる。
だから、言葉の意味をより正確に理解するためには、
どういう言葉を使い、それをどのように言ったのかを知る必要がある。

しかし、今のところそれは無理なので、
この通訳を介した記者の質問を額面通りに受け取るとする。

 

審判の方々…、この採点される方々から、
かなり好意的に見られていて、
同情されているっていうようなことがあっていい点が取れている。
っていうようなことはありませんか?

記者の質問はこうだが、
ここには質問の背景について明確に言及されておらず、
それは聴き手の推測に委ねられている。

つまり、
「何が言いたいわけ?」
ということが明らかになっていない。

それを多くの人が推測するに、

「審判が内村に有利なジャッジをしたから勝てた」

これが“推測するに”記者の質問の背景であり、主張だ。

これは、あの逆転劇を見ていて、
体操に関する知識があまりない何人かの人は思うことだろう。

ペルニャエフ選手は内村をかばうためか、
また、体操の協議そのものの公平性を守るためか、
その質問を「無駄な質問」と言った。

感情的にわかるし、選手として当然の主張であろうと思う。

そして、実際には「無駄な質問」というのは、
私はほとんど存在しないと思っている。

実際にこの質問があったからこそ、
このジャッジの公平性を論理的に証明するような流れが生まれているし、
採点がどういう根拠でなされたのかという、
体操やそのジャッジに対する理解が浅い人が、
その理解を深めることにもつながった。

私もその一人であるが…。

また、世界における公式の場で、
あの質問を投げることは非常に勇気が必要なことであると私は思う。

選手がインタビュアーに対応することができるなら…

インタビューの場でどのようなルールがあるのかはよく知らない。
だから、選手が逆に記者に対して質問ができるのだとしたら、
さまざまな憶測や解釈でコミュニケーションを進めていくのではなく、
本人の考えや主張をより明確にした上で会話を進めると、よりうまくいく。

選手からインタビュアーにこんな質問をしたらどうだろうか。

「なぜその質問をするのか?」
「その質問の奥にある、あなたの考えや主張は何?」
「つまり、何が言いたいんですか?」

「どのジャッジのことを言っていますか?6種目すべてのことですか?それとも最終の鉄棒のことですか?」
「あなたならわたしとペルニャエフ選手の演技に何点を付けますか?」

こうした質問は記者の考えをより明らかにしてくれる。
また、これらの質問は、記者に正しい理解を促すとともに、
記者を少し困らせることにもなるだろう。

まとめ

私たちは、日頃たくさんの言葉のやり取りをしている。
その中で、事実を明らかにしながら会話を進めていく意識は薄い。

私たちの日常会話はさまざまな解釈や憶測が基となっている。

これが、多くの誤解を生み、人間関係のひずみにつながることが珍しくない。
だからこそ、相手の真実を確認しながらコミュニケーションを進めていくことは、
非常に重要なことであり、
また、その事実を明らかにするためには、
そのためのしかるべき技術が必要となる。

適切な質問の力は、日常会話を豊かにするだけでなく、
望ましい人間関係を築いていく可能性を大いに高めてくれる。

 - コーチング, 質問の仕方

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